というのは、指導者によって様々な考え方があると思います。
私の場合は主題が描き終わったら、まわりを考える事を子どもに勧めます。
クレパスで主題を描いたら絵の具を用意して「絵の具でまわりを飾ってごらん」
と言ったり、「描いた物がもっと素敵に見えるようにまわりを考えてごらん」
と言ったりします。これがもっとも上手い言い方とは思いませんし、賛否あると
思いますが(まわりを描く事で絵を壊してしまう場合もありますし)、これには私
なりの理由があります。
まわりを描く事をお勧めするのは、けっして大人の事情で絵の見栄えを華やかに
する為ではありませんし、時間の埋め合わせでもありません。
その理由は2つ。一枚の絵になるべく長く関わってみて欲しいのと、子どもに
もうひと考え自分を掘り起こす経験をしてもらいたいからです。
一枚の絵に長く関わっていると、新しい発見や、遊びや、ハプニングが起こる
可能性が高まります。そうした経験の積み重ねの中で、自分なりに表現することの
楽しみを広げて欲しいのです。
もうひと考えというのは、人は制約がある事で自分が気がつかなかった力を発揮
したり、アイディアが浮かんだりします。小学生くらいになると自分の力の限界を
自分で決めてしまったり、少し余力を残した状態で完成にしてしまったりします。
そこで「主題に対してまわりを考える」という制約で、もうひと考え自分を掘り起こ
すような経験をしてもらい、やりきった!と満足して活動を終えて欲しいのです。
もちろん活動内容や子どもの体調や様子を配慮してのことです。
あと付け加えるなら、見栄えは関係ないと書きましたが、良い絵ができる事で
その子がたくさん褒めてもらえる事は重要だと思っています。褒めてもらえる事
や共感してもらえる事は、人としての自信に繋がりますし、自分らしさを気持ちよく
出せる人になって欲しい!というのが造形活動の目的の一つだからです。
下の活動は、教室造形です。ゲスマニアという観葉植物を赤、青、黄、白の4色の
絵の具だけでパレットで色を混ぜながら描いたものです。