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●地図の絵

マンションがその場で展開してます!

木が展開図で表されています、車も横向きです

家は道なりに横向きに描かれます、車線も詳しく知っていますね

保育園の5さいクラスで、地域の地図をみんなで造ってみよう!ということになりました。
しかし、担任の先生の考える「こんな地図」感と子どもの認識は違うかもしれません。
子どもの絵は一般に「視覚のリアル」ではなく「感覚のリアル」であると言われます。
では、実際に子ども達は地図という「記号」と自分たちのできる「お絵描き」とを
どのように認識し表現するのでしょう、それが分かっていなければ担任の大人の地図
造りになってしまいます。子どもが気持ちを込めて夢中になってできる地図造りの為にも
実際に子どものする事をまずは見てみよう、と言う事になりました。
今回は、自分の家から保育園までの道のりをみんなで話し合った後にお絵描きしてもらいました。
まず特徴的なのが「展開図」の様に建物を描く事です。
子どもは、だいたい4さい半くらいから、紙の上側を空にし、下側を地面にして、そこに
人や物を立てて、絵を「場面」のように表すようになってきます。
この手法を自分なりの「絵の描き方の法則」にして、また表現がどんどん広がってゆきます。
子どもは「地図とは、この世界を上から見たように表されている」ということを知っています。
だから遊びで描く迷路のように道路を描いたり自分の家の場所を決めたりできます。
しかし、子どもにとって地図を描く事も「お絵描き」の一種なので、先ほどの「絵とはこう描く物だ」
という子どもなりの法則もここに入ってくることになります。
子どもにとって建物は地面にくっついていなくてはならないし、その建物は横からの絵しか描けません。
しかし地図にすると地面であるはずの道路が紙の底辺から離れてしまいます。
そんな矛盾を子どもなりに解決したのが展開図画法です。
「建物や人は地面である線を下にして上へ向けて描く」ので道路の線をはさんで展開図のようになります。
ちなみに左の絵は、自分を囲むようにマンション群が建っているのを表そうとして、地面の線が円になり
マンションが開くように展開しています。

位置関係は正しいとの事、でも太陽が出てますね

道が空に延びちゃった。不思議な表現

紙をつなげて広い範囲の位置関係を描いてます。でもお空も

そして面白かったのが、この上から見た地図表現と横から見た絵画表現の混同です。
ここにも、なんとか知ってる事でこの世界を表そうとしている感じが見えて興味が
惹かれます。
大人が見ると遠近感を表しているように見えたり、道が空に延びているように
見えたりしますが、子どもにとっては感覚的なリアル空間なのでしょうか。

街は上から見てるのにお空が描かれています

公園の遊具の位置も細かく思い出して描きました

マンションは横から、道は地図的。虹も描かれています

歩行者用信号機が詳しく表されています。いつも意識して渡っているのでしょうか

自分の家が遠くにあるように見えます、たぶん偶然です

行動順に表しました、言葉で説明しているようですね

もう3つ
左の子は道路の信号や横断歩道に興味があるようです。細かく描かれてます。
真ん中の子もやはり建物は横から見た絵で表しています、絵の中では、遠くの物を
上に小さく描くと距離を表すことができるので、まるで遠近法で描かれているような印象を受けます。
右の子は地図を道ではなく自分の行動の順番で表しています。面白いですね。
子どもの絵の見方、解読の仕方はいろいろあると思いますが、この地図の絵が解ると
かなり色々な表現が理解できるのではないかと思います。