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●心と体

そんなこんなで出来たクワガタの絵

Kちゃん(4さい)は絵を描くのが苦手です。というよりも絵の具をしてもクレパスを使っても、そこに楽しみを見いだせないでいました。
楽しく感じられないから気持ちも後ろ向きになるし、それゆえお絵描きも適当にやってしまい、適当にやるからいっこうに上手くもならないし達成感もありません。そんな自分の絵を見るから、さらに自分は下手だと思い込み、やっぱり楽しくない。というような、悪循環にはまり込んでしまっている感じでした。
造形は基本的に上手下手という物差しではなく、その事を通して、子どもが自分でする達成感だったり、満足感だったりを味わい、1人の人として自信を持って生きて行くための手助けをするものだと思います。
私は、なんとかこの子にも卒園するまでの間に数回でもそんな達成感や満足感を味わってもらいたいと思います。
今回はそんな意味も込めて、最初から最後までKちゃんに付きっきりで一緒にお絵描きをしてみました。
一緒に描いてみて分かったのですが、Kちゃんは苦手意識の為に、体が外を向いてしまって画用紙に向かっていないし筆も上の方を2本の指でだらしなく持っている状態でした。だらしなく持つから筆が自分の思うどうりに動かないし、思いどうりに動かないからやっぱり上手くいかなくてつまらない。まさに負のスパイラルです。
 
 人は「楽しいから笑う」のとは逆に「意識的に笑顔を作ると楽しい気分になる」ということがある。と以前心理学の本で読んだ事があります。
 私は、よし、今回は何より体の動きから指導して、とにかく描きらせて、自分にもできるんだ!という事を味わってもらい、少しでも心が動く様な経験をしてもらおうと思いました。
(前振りが長くなりましたが)「体をシャンとすると心もシャンとするんじゃないか作戦」です。
 
 まずKちゃんの体をまっすぐに向かせ、筆も真ん中よりもちょっと下辺りをしっかりと持たせ、「よし、Kちゃんの好きな虫を描こう!」と半ば強引に話を進め、一緒に筆を持って胴体の楕円をしっかりと描かせてみました。その後は「中を何色にする?」「角は何色がいい?」「どこに描く?」「足は何本描く」とそのつど本人の意思を確かめながら、進めて行きました。
 できあがって「すごいね、よくがんばったね」と声をかけると「ん〜」と少し複雑そうながらも自分の絵を眺めていました。
 
 もちろんその一回でKちゃんの何かが劇的に変わるわけではないのですが、卒園までになんとか造り描く事の楽しみを、満足感を味わう事ができるようになればいいなと思っています。
ちなみに私から解放された?Kちゃんは、自分からオレンジ色を少し付けたり、手形で周りを飾ったりしていました。少しくらいは伝わったかな?と感じさせてくれたのはうれしかったです。
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